Home > ランジエ(Ep2P Dream too bright to last.)
−− 明け方近くだろうか、眠る金髪少女とその傍らで眠る大型犬がいる。 −−
犬:『……?』
犬:『……ワン!』
■ここで見る見ないの選択肢です。選択後はすぐに暗転するので、ランズミとカスタードのお披露目会みたいな気が……。■
□
−−暗転−−
Episode2 光輝
Prologue Dream too bright to last
−− 視界のはっきりしない暗闇の中、少年だろうか?言い合う声が聞こえる。 −−
右の声:『……から。』
左の声:『お前と一緒に戦うことはできない。
お前が求めるものと、僕の求めるものは違う。』
−−白転−−
『世界はそう簡単に変わらない。
たったひとりの力は弱く、ちっぽけで、儚いから。
世界は、あの時も今も、弱い存在には無慈悲なもの。
身を包む衣服がない者に冷たい冬の風が残酷なように。
ひとつの小屋も持たぬ者に暴雨が降り注ぐように。
急に世界に放り出されただけの子供の私に、世界は不可解なほど恐ろしく巨大な壁だった。』
□
−−暗転−−
左の声:『お前は強く、純粋だ。
しかし僕はお前と一緒には行けない。』
右の声:『僕はちっとも純粋じゃない。
僕は世界をまっすぐ見ているのに……
どうして純粋でいられる?
……ただ、誰かが世界を変えなければ、
他の誰かが踏みにじられることの繰り返しだから……。
だから……。』
左の声:『お前も、僕も、今は無力で……。』
右の声:『まだ子供にすぎなくて……。』
−− 二人同時に。 −−
右の声:『でも……!』
左の声:『僕は、行かなければならないけど……。
とにかく覚えておく。
お前に借りがあることを。』
右の声:『……。』
□
−−暗転−−
『世界から勝利を治める方法はそれを壊すことのみ。
世界を読み、世界を理解し、新たな物語を書いていく方法のみ。
新たな、世界という物語を……。』
□
−−暗転−−
右の声:『僕は、今はただ手を握ってやれるだけだ。
それなのに僕にどんな借りがあるというんだ?』
左の声:『僕の手を握ってくれたのは、お前だけだったから。』
右の声:『僕は、ただお前を守りたかったのに……なのに……。
お前は……確かに間違ってない……。
悪いわけではないのに……。』
左の声:『僕達は別の方向を見ている。
……それだけだ。』
左の声:『僕は行かなければならない。
探すべきものがある。』
右の声:『この手を放すな。』
−− 二人同時に。 −−
□
−−暗転−−
『あの時、私には力がなかった。
周りの誰にも力がなかった。
ペンを握り、武器を握り……、あるいは世界そのものを握れる手。
そんな手があの時の私にはなかったから。
ただ紅葉のような小さな手を伸ばして誰かの手を握ってやれただけだ。
それが、
できる唯一の事だった。』
−− 視界が晴れ、立ちつくす青髪の少年と、走り去る黒髪の少年が見える。
視点が、
接近しながら徐々に視界が薄れていく。 −−
■多分ですが、右の声がランジエ、左の声がボリス。だと思います。■
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−−暗転−−
−− 息を切らしながら何かを必死に追いかける。 −−
『はあ……はあ……はあ……。
……ちょっと、待っ……待って……!!』
−− 何かにつまづき、地面に倒れこむ。 −−
『……どうして。』
−− 先行していた視点がランジエの元に戻る。 −−
『…………。
……うっ。
ぐすっ……ううっ……僕は……僕は……。』
−− 視点がランジエに接近しながら暗転していく。 −−
□
−−暗転−−
−− 暗闇の雨の中、傘も差さずに立ちつくすランジエ。 −−
『…………。』
『何が正しい道なのか明白だったら、ためらう理由はどこにもない。』
『今の私はどんな蜃気楼にもだまされない。
どんなに温かな感情にも揺れず、どんなに美しいものにも客観性を失わない。
これが私の誓い。
だから……だからもう少し力を。知識を。もう少し……。』
『……もう少し勇気を。』
□
−−暗転−−
−− 明け方まで振った雨が日が差すにつれてあがった。視点が左に移動し、座り込み本を読むランジエが映る。 −−
−− ランジエの目の前に突然ロングソードが現れる。 −−
『こんにちは。』
−− 考えながら立ち上がる。 −−
『こんにちは。
はじめまして。』
『おやおや……何ですか?その礼儀正しいあいさつは……。
アハハ。』
『ちっちゃな子供だったあなたが、こうして生き延び、同じ場所に立った気分はどうですか?』
『失礼ですが、私について知っているように話されますね。
簡単な自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?』
−− 立ち上がる。 −−
『簡単な自己紹介……これはこれは、また、こちらが恥ずかしくなるほど丁寧な訪ね方ですね。
何と言うべきか〜う〜ん。
普段は世界にたったひとりのベテラン旅行者。
しかし今は特別な運命を届ける商人……?
どうです、満足のゆく説明になりましたか?』
『商人?
……私に何か御用がおありのようですね?』
『いや〜これはこれは。今回は本当に簡単に話が進みますね。
私もすごく嬉しいですよ。
ですが、話を聞いてみるだけではダメです。
物語の幕が上がるという言葉をご存知ですか?
私があなたに渡したい物は、言わばそういった物ですから。
受け取るのか受け取らないのかはっきりしてくださると助かりますね〜。
私も実はちょっと疲れてるんですよ〜。
普通じゃない人達相手に取引しているとどうしてもね〜。フフッ。』
『そんなのは無理強いじゃありませんか?』
『私はあなたが渡すと言った品物を見たことさえないのに、私が受け取るとお思いですか?』
『ああ〜、わかりました。
まあ、それでは少しヒントを差し上げることにしましょうか。』
『ヒント……?
……どうもあなたは一般的な商人ではなさそうですね。』
『何と失礼なことを〜。
今、正に私は誰よりも立派な商人です。
私しか取り扱うことのできない品物を持っているんですからね。』
『……しかしどうやらその特別な物を使用できるのは、私しかいないようですね。
違いますか?』
『あら?これはこれは……バレてしまいましたね。
鋭いですね。フフフ。
やはり賢いですね。取り引きの本質を理解してらっしゃる。称賛に値します。
ランジエ・ローゼンクランツ(Lanziee Rosen Kranz)様。』
『…………。』
『……あなた、何者ですか?』
『おやおや、意外に驚きませんね。
ふ〜む、いろいろな面で本当に面白い方ですね。』
『さあ〜、あれこれ騒ぐ必要はありませんね。
百聞は一見に如かず。さあ……行きましょうか?』
ランジエ:
『そんなに疑い深い顔をしないでください。
とにかく!きっと気に入るはずです。断言します!』
−− 二人同時に姿が掻き消える。 −−
□
−−暗転−−
−− ランジエとロングソードが書斎に現れる。 −−
『…………!』
『……これ、凄いですね。』
『純粋に感嘆してくださり嬉しいですね。
フフフ。近頃は感嘆の対象すら質が変わりましたからね〜。良いことをしてもあまり喜ぶのを見られませんから。』
『あまりに綺麗なワープ……だったもので。
特に変わったワープ装置を使ったわけでもなさそうですが……どういった原理で動くのです?』
−− 衝撃だったのだろう、立ち上がり、手のひらを上に顔の高さに上げ天を仰ぐ。 −−
『おや……何ですか?そちらの感嘆だったのですか?
しくしく。ひどいですね。
ほら、この立派な書庫を見て何の興味も沸かないはずないでしょうに。』
『ああ、立派ですね。
装丁も高級で……それで、ここはどこですか?』
『そんなの素直に答えてあげたらつまらないでしょう。
とにかく、とても良い所ですから思いっきり見回ってみてください。
イウェリド・エタの写本なら、なんでも集めていらっしゃるじゃないですか。
フフ。ここにはおそらくあなたが持っていない本も少しはあるでしょうから。』
『…………。』
『聞きたいことが山ほどありますが、答えてくださらないでしょうからやめておきます。』
−− そう言うと、まっすぐ本棚の前まで移動していく。 −−
□
−−暗転−−
『…………。』
『イウェリド・エタの筆写本は私もけっこう集めましたが……これは初めて見る物ですね。
内容は相変わらず大したものではないようですが。』
『イウェリド・エタはそれ自体が原書のエタの筆写本ですからね。
本物でない物が素晴らしい物だったことは一度もないということ、ご存知でしょう?フフ。
あ、あの、老婆心から一言申し上げますが……残念ながらここにある本は持ち出し禁止です。
絶対見つかりますから、気を付けてくださいね。』
『……新しい内容は2ページ程度。
もう覚えたので持って行く理由はないですね。』
□
−−暗転−−
−− ランジエが、ロングソードの近くまで数歩歩いてくる。 −−
『覚える必要は……まあ、そうですね。今は。
しかし私が見たところ。それらすべては本物の影に過ぎません。
身の程知らずなおせっかいのようですがね。フフ。
あなたにはエタの原書に近付くことができる資格が充分にあるのに、
あなたはそれからずっと目を逸らしているじゃありませんか。
ああ〜もどかしい。』
『原書に近付くことができるのに自らしないと?私が?そんなわけありません。
本当にそんなことができるのなら、私は絶対に目を逸らさないでしょう。
あなたの言葉は私には全く説得力がありませんね。』
『まあ、今は全く分らないでしょうね。
私ももどかしいです。ああ〜、言いたいのに言えないこの心情!誰が理解してくれるでしょうか?』
『さあ、前振りはこのくらいで充分なようですから、帰りませんとね。
味見はあくまで味見。なんでも適度に名残惜しさがあってこそ後日を約束できるものです。』
−− 再び2人は、姿が掻き消えるようにワープして行く。 −−
□
−−暗転−−
−− ケルティカ市民街・民衆の友のアジトに2人が現れる。 −−
『……これ、便利ですね。
どのような機械装置で移動するのかお聞きしてもよろしいでしょうか?』
『おやおや……さっきからずっとそちらにばかり感嘆してらっしゃいますね?
ポイントはそこじゃありませんよ!まったく、話が脱線し続けて困りますね〜。
私はあくまでも、品物を渡しに来たのですから。
ローゼンクランツ様空間移動にこの上なく大きな関心を持っていらっしゃるということはよく分りますが、これは機械装置を通じてなされるのではないのです。
伝授できない技術に好奇を寄せても、差し上げられる物は何もないんですよ。
フフフ。』
『本当にすごいですね。
再現できない技術が存在するというのが。』
『……疑っていらっしゃいますね〜。』
『先ほどのあの書斎にまた立ち寄る必要があると思います。
しかし特別なサービスはたった一度ですので、再訪問するにはローゼンクランツ様ご自身の力でなさなければなりません。
ですので、あなたが手に入れようとする情報も、そして力もみな、
この運命の幕が上がった後でなければ絶対に見つけることができないでしょう。
単刀直入に申し上げますと、あのエタもです。
それを申し上げるために私はあなたに会いに来たのです。
幕が上がったと言わなければ自分が舞台を見ているという事実さえ分らないものですからね。
ふう〜、本当にしんどいな〜。
鬱陶しいですが、私としても仕方がありません。実権を握ったのはあなたたちの方なのですから。』
−− 言葉を終えると、返答を待つかのように右へ左へと歩き回る。反応が見られるとその場で立ち止まった。 −−
『…………。』
『実権を握った……?
どうでしょう、今のあなたの態度からは私に実権があるようには思えませんが。』
『まあ、私の運命の決定権を誰かに渡すつもりがないということだけは事実ですが。』
『……難しいな、本当に。
みんな扱いづらいですよ〜。
ローゼンクランツ様は、う〜ん……。
よく鍛えられた刃……と言っておきましょうか?お気に召すかは分りませんが。
もう少しはっきり申し上げましょうか?
あなたには資格があります。力があると言ってもいいでしょう。形はどうであれ。』
『資格?
自分自身の道を自ら選択することが資格だと論ずることはできないと思います。』
『しかし、資格というものは確かに世の中に存在しています。
資格があるから、義務が生じるわけでもありますから。
やるべきだと思うこと、ありますよね?
……それは。遠まわしに言えばローゼンクランツ様ができると思うから喜んで選択したのではないですか?
あるいは、そうするために努力してきた……と表現することもできます。
それならばそれこそ実行できる資格と見ることができませんか?』
『特権に関する話ではなく、義務に関する話……。
独特ですね、そのような理論は。』
−− ロングソードがランジエの後方のイスへワープし、ランジエが振り返る。 −−
『……まあ、私も忙しい身ですから簡単な説明だけ申し上げて終わらせることにします。
ローゼンクランツ様は賢いですからこれ以上長く話す必要もないでしょうからね〜。
私がお渡しする物はオーバード(aubade)という品物です。
世の中でただひとつ、そしてそれを手に入れるべき人も今はただひとり。
だから苦労を顧みずはるばるここまで訪ねて来たのです。
あなたの強い意思はこれまでの会話で充分感じ取れました。そして例のものは先ほどあなたの荷物に入れさせて頂きました。』
『いっ……いつの間に……。』
『アーティファクトオーバード(aubade)……。
この世界でたった何人かにだけ与えられた資格を得るために必ず必要なものです。
何の力も感じられないですって?……その通り。
ある程度の時期が来るまでは、何の効力も発揮されません。
あなたがさらに強くなるために、そしてあなたの特別な運命、そしてこの世界でたった何人にだけ与えられた資格を得るためにそのアーティファクトを使用しなければなりません。
そのオーバード(aubade)を使用したら、あなたが私の提案を受け入れたものと認識します。
その後は?自由です!これまでのように、自由にあなたの思いどおり生きていってください。』
−− ワープし、去り際まで言葉の発し去って行く。 −−
『さあ……それではお元気で。
またお会いできたらいいですね、できるだけ、あの日差しが降り注ぐ外の世界で!』
『…………。』
『……本当に変わった人だな。
しかし、少なくともあの人の言うとおり私にエタの原書に近付ける資格というものがあるならば、それは悪いことではないな。』
−− 踵を返すと出入り口へと歩いて行く。 −−
□
−−暗転−−
■ここまでがランジエプロローグです。
修正点は少なかったのですが……、ランジエ、なんて表情の分りにくい子!!
もしかしたら何箇所か違っているかもしれません(汗)
あと、冒頭部分が厄介でした……同時に表示される2箇所、同時だと分ってもらえるかな??(滝汗)■
→次の話、C1 The Vortex へ続く
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