Home > ジョシュア(Ep2C0 Deus ex Machina -機械仕掛けの神-) 1p・2p・3p・4p・5p
『音楽に興味があるのかい?ワタシが作曲した歌があるんだが……聞いてみる?ふんふん〜。』
−− 手にした楽器を弾きながら歌いだす。 −−
『フンフン〜ディンディン〜あの〜遠く〜闇を突き抜けて〜。
ほのかに〜近付く〜 光〜〜ルルララ〜。』
−− 歌を止める。 −−
『ヘヘヘ。ワタシ達ラオ族は、人は誰もがひとつの才能を持って生まれると信じてる。
ワタシの場合、それが歌なんだよ。』
−− 再び歌い始める。 −−
『私の中の黒い心を振り落として〜〜 今〜〜新しい道を〜 照らすの〜〜。
イェイイェイウォ〜ウウ〜あの時の〜〜つらかった〜ことを〜すべてえええ〜イェ〜。』
『……。』
『フンフン〜〜一緒に飛び立つうう〜ウォウウォオオオ〜イェ〜。』
『……ところで、何の用でこのバラを訪ねたんだい?
さあ、さあ、用件だけを簡潔に!!』
『クラドのロイドさんに頼まれて来ました。
クラドの人々は、バラさんが気を害したために歌を歌いに来てくれないのだと思っています。』
『……うん?
……ワタシが?』
『はい。バラさんが。』
『ロイドさんの依頼を断りはしたが……。
しかし気を害したからだって?ワタシちゃんと理由を説明したよ!
ワタシは本当に足をケガしたから行けないんだよ!!気を害したとか何かが気に入らないとか……。
ワタシは真の音楽家だ!!真の音楽家はそんなことで演奏を断らない!!』
『それでは誤解があったようですね。
しかし足をケガして治療中ならやっぱりクラドへ行くのは無理でしょうか?』
『無理だ。
行っても不自由な体で楽しい音楽が奏でられるわけないし。』
『そうですか。
……オレは医者ではないですし、一番いい条件でバラさんを連れて行く方法も分りませんから、残念ですがロイドさんの頼みは叶えてあげられなくなりましたね。』
『……それでひとつお願いしたいのですが。』
『お願い?』
『よろしければ楽器をしばらく借りれませんか?
必要なのは音楽ですから演奏する人と楽器さえあればいいのです。それが誰になろうと。』
『名匠は道具を選ばないと言うが……。見たところまだ若い冒険者のようだが、演奏はできるのか?
ただペンペン弾いたからって全てが音楽になるんじゃないんだぞ。』
『もちろん……わかっています。
しかしオレはロイドさんに頼まれましたし、とにかく一度引き受けたことはちゃんとやらないと気が済まないので。』
『……ふむ。まあ、それなら……どうせワタシは同じものをスペアでひとつ持っているから、特別にこれを貸してやることにしようか?』
『……。』
『……さきほどの演奏を聴いたところ、調律をやり直さなければならないようでしたが……。
調律だけではなく弦も半分以上張り替えたほうがよさそうですし……。』
『な……何だと!? 調律は……あ……うーん……。
……。
い、言われなくともそうしようと思ってたよ!!ふん。
ワタシがそんなことも分らないと思ったか?ちぇっ。』
『それならいいのですが。
楽器に手を加えたら不愉快に思うかもしれないので。
バラさんが寛大な方でよかったです。ハハハ。』
『か……寛大だとも。ふん。そもそも偉大な音楽家は寛大なんだ!
……ふん。』
『では……またその寛大さに期待してもよろしいでしょうか?
よろしければですが……、貸してくださった楽器をオレが調律して返してもいいですか?』
『……信じていいか分らないな。
そんなに調律に自信があるならワタシの目の前でやってみせてくれ?できるか?』
『どうしてもと言うのならば、そうします。』
(うーん……まず新しい弦が必要だ……。
このあたりですぐに高級弦を購入することはできなさそうだし……どうすればいいだろう?
クレミノの毛玉を10個くらい集めてみようか……。
そして弦をきれいに磨くことができる丈夫な布1枚とゼリークーム10個を手に入れればとりあえず間に合うだろう。
じゃあ急ごう。
……関わるつもりはなかったのに、ことが大きくなったな……。)
■個数表記を変更しました。 個から枚へ。■
−− 必要材料を集めて戻って来るジョシュア。 −−
『調律に必要なものを持ってきたのか?
ふむ……よし、どれ、調律してみな。』
『少し時間が必要ですので待っていてください。』
−−白転−−
『……もともとこんな音が出る楽器だったのか……。
……。
……ふむ。』
『気に入りました?』
『ワ、ワ、ワタシもやり方知ってるよ!!調律くらい……ふん。
テストしてみたんだ、テスト!!
ワタシの貴重な楽器を貸してあげてもいい人なのかどうか!』
『はい、バラさんは徹底した方ですから。』
『そ、そうだ!!ワタシは徹底した人間だ!!音楽家だから!!ふん!!
じゃあ早くこれを持って行きな。
返しに来るのを忘れずにな!』
−− ジョシュアに楽器を手渡す。 −−
『音楽家としてお前の身分も問わない。担保もなしにお前を信じるんだぞ。分ったか?
ふん。』
『ご配慮に感謝いたします。
では……。』
(さあクラドのロイドさんのところに戻らなければ。)
『……どうして来ないんだ……。時間がないのに……。』
『お待たせしました。
さあ、急いでデイジーさんのところに行きましょう。』
『ま……まだ時間は大丈夫ですが……。あの、バラさんはいらっしゃらないんですか……?
やっぱり気分を害したのか……。
はあ……。結局こうなってしまった……。
ごめんなさい、デイジーさん……。ぐすん。』
『バラさんは足にケガを負っているので来ることができなかったのです。
気分を害したというわけではありませんから心配しないでください。』
『でも……。
演奏家がいなければその楽器は何の意味もないでしょう。
楽器を持って来てくださったのはありがたいですが、俺は演奏はできないし……。』
『ああ。仕事を引き受けた責任があるので、オレが演奏しようかと思うのですが……。
よろしければ任せてくださいませんか?』
『……お言葉はありがたいのですが……。』
『信頼できないのも分りますが、時間がないのでしょう?
他の演奏家を捜す時間もないし……。がっかりさせてしまって本当に申し訳ございません。』
『……あ、いいえ!!』
『町長様の言うとおりでした。
分不相応にすばらしい音楽を望んだのが間違いでした……。
自分の身のほどをわきまえるべきだったのに。
ははは。せっかく手伝ってくれようと一所懸命持って来てくださったのに、申し訳ありません。
がっかりした姿を見せるなんて俺が至らなかったです。気持ちが大切なのに……。』
『いいえ。誰から見ても……オレはあまり頼りないみたいですから。
実力が証明されない芸術家というのは、誰にとっても信用できない存在であるのが当然です。』
『とにかく、正式にお願いします!
デイジーさんのために演奏してください!』
『喜んで。
オレの演奏でもよろしければ。』
『デイジーさんは目が見えないけれど誰よりも繊細でいい人だから、きっと喜んでくれるでしょう!』
『そうだといいですが。
では……行きましょうか?』
『はい!
デイジーさんは町の中央の広場でいつも花を売っているから、そちらへ行けばいいです。
俺は鏡を見て、身なりを整えてから行きますね!!』
□
−−暗転−−
−− 広場に、デイジーを中心に村人達が集まっている。ほんの少し離れた場所にジョシュアが立っている。 −−
『どういうことですか?
本当に音楽を聞かせてくれようと演奏家を連れて来たんですか?ロイドさん。
本当に……。私が元気ないから……私のために?』
『うん。デイジーさんが楽しめたらと思ってね。
でもあんまり期待はしないでね。一所懸命やるつもりだけど、デイジーさんががっかりするのは見たくないから。』
−− 町長バタナが右上側から歩いて来る。 −−
『町長様!?』
−− 他方を向いていた村人やジョシュアがバタナを見る。 −−
『……バラ君は結局来ないのか?
……はあ……。』
『はい。しかし楽器は借りて来たのでオレが代わりに演奏しようと思います。』
バラ:
『あまり悲しまないでください。バラさんは本当に足にケガをして来られなかったのですから。
町長様のせいではありません。』
−− 村人側を向く。 −−
『ふむ……しかし君が代わりに演奏するなんて……。
大丈夫か?』
『今のお言葉は、オレがうまく演奏できるか分らないという意味でしょうか。
それとも演奏できるのかという問いでしょうか?
どちらの意味かによって答えが変わってきますが。』
『まったく複雑に話す旅行者だな。
当然、楽器が扱えるのかって意味だ!!』
『一応、楽器は扱えます。
しかし演奏が上手なのかどうかという問題は、実際主観的な基準ですから申し上げにくいですね。』
『私のために演奏しに来てくれたことだけでもとてもありがたいです。
声がこんなに柔らかく優しい方ですから、演奏もそよ風のように甘美なのでしょうね。
どんな音楽を聞かせてくれるのですか?』
『こちらの旅行者様が何もかもやってくれて、俺のしたことはあまりないけど……。
気に入ってくれたらうれしいよ。デイジーさん。』
『こっちがどきどきしちゃう。
ほほ。』
『……それでは始めます。』
−−白転−−
■ジョシュアの演奏曲(タイトル:~His_ballad)は TWフォルダ→BGM→STREAM→0123.MP3 で聞くことが出来ます。■
『……。』
ランドルフ:
アルフレッド:
デイジー:
ロイド:
−− 付近を歩いていたノマやレニ、ニワトリ達が集まってくる。 −−
レニ:
■多分ここまでBGMが流れています。■
−−白転−−
その場にいた村人全員:
『……。』
『す……すばらしいですわ!!
音楽というものはこんなにステキなものだったのね!!』
デイジーを除く村人全員:
『ほ……ほんと!!すごいです!!バラさんの楽器からこんな音も出るんだって初めて知りました。
ただキンコンカンコン鳴るだけだと思ってたのに……。すごいです!』
『……な、何だか分らないけど……こりゃほんとすげーぞ?
何と言ったらいいか分らないが……うーん……何つーか……。
な、何かすごい……。』
『一体何度「すごい」を繰り返すんだ?
むう〜……。』
『じゃあ町長様はイマイチだったとでも言うのですか?今の音楽が!!』
『フムフム……。
……若者にしては大したもんだ。ごほん……。』
『ステキ……本当に本当にステキな演奏でした。デイジーさんがうらやましい……。』
『あ、ありがとうございます。ここまでいい演奏を聞かせてくださるとは……。
疑ったりして申し訳ありませんでした。実は立派な音楽家だったのですね〜!』
『とんでもない。オレは音楽家ではありません。
気に入っていただけてよかったです。』
『あの……それではお礼を……。』
『いいえ、けっこうです。最初に頼まれたことはバラさんを連れて来ることでしたから、厳密に言うとオレはまともに任務を遂行したわけではないのです。
それに報酬が決められている仕事ではありませんでしたから。』
『お金を決めて始めたことではないのに便宜によってお金をもらうことはできません。
オレは悪い結果ではなかったということで満足です。』
『では……。』
−− 村人達の前から立ち去ろうと歩きだす。 −−
−− 振り返る。 −−
『あ……そうだ。
このあたりに、外部の人とよく会う人はいませんか?ある人を捜しているのですが……。』
『ひっく。そういうことならうちの娘が一番だ〜ひっく!!
くう〜酔った〜。いい音楽をつまみに酒を飲んだから、ほんとに気分がいいぞ〜ひっく!!』
『娘さん……とは?』
『ネロリーさんです!!
あそこのクエストショップで仕事を紹介しているお姉さんです!へへ。』
『確かにネロリーさんが一番よそ者にたくさん会うな。
大きい都市のギルドとも親しい仲のようだからね。とても能力があって利口だよ。』
『ひっく。フフ。ワシの娘だぞ〜ひっく!!
あいつは死んだ母親に似てとてもしっかりしてるんだ。ひっく!!』
『……ふむ。そうですか。
クエストショップを運営しているなら確かに何か知っているかもしれないですね。』
−− 後方を向く。 −−
『教えてくださってありがとうございます。
そのクエストショップというのは、あちらの方にあるんですよね?何番目の建物ですか?』
『わ〜!!私達が何も言ってないのに、どうしてそっちの方の建物だとわかったんですか?』
−− 村人側に振り返る。 −−
『え?
それは、ネロリーというお嬢さんの話をしながら皆さんあっちの方向をきょろきょろ見ていらっしゃったので……。』
『ネロリーさんはあちらの端にある建物にいます。
働き者のアルフレッドというクエストショップです!!』
『ありがとうございます。助かりました。
では……。』
村人全員:
(とりあえずバラさんに楽器を返しに行かなければ。その後また戻って来よう。
他人の物を長いこと持ってるのはどうしても気になるから。)
−− 立ち去る。 −−
『……本当にステキな人だ。』
−− 村人達の方を向く。 −−
『なんとなく気高く見えるし、すごい人かもしれないですね!!
とても有名な音楽家とか。』
−− ルディと同じ方角を向く。 −−
『本当にあんな音楽を演奏するなんてすごいです。嘘のように力が出て、
すごくすごく楽しくなりました!
まるで楽しい夢を見た朝のように……。
私は虹を見たことがありませんが、おそらくこんな感じでしょう?
精巧な宝石も見たことがありませんが、おそらくあの音楽ほどは美しくないでしょう。
詩人がどうして存在するのか分かる気がするわ。この感じ……この感動を表現するには、私の知っている言葉ではとても足りません。』
『デイジーさん……。』
−− ロイド、デイジーを中心に視界が接近。 −−
『ありがとう、ロイドさん。本当にありがとう。
あんあ音楽を聞かせてくれて。
ああ……まだ耳元であの音楽がいきいきと流れています。
アイスクリームの甘い味が残っているように。
ふふ。』
□
−−暗転−−
■演奏ラストまで。他のキャラとの絡みの少ないEP2メンバーですが、所々イベントがEP1メンバーと交差している部分があるので見ていて楽しいですね。
(今ページでは演奏部分のみの交差ですが)■
→続きの話、再びカウルへ
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