Home > ジョシュア(Ep2C0 Deus ex Machina -機械仕掛けの神-) 1p・2p・3p・4p・5p
−− 南北に貫く大通りのマグノリアワイン側を南に向かってを歩いている。 −−
『…………。』
−− 後方から赤みがかった金髪の少年がつけてる来る。振り返るジョシュア。 −−
『何かお話でも?』
少年:
『ど……どうして気づいたんだ?
ちぇっ。しょうがない。単刀直入に言う!!
おまえ、さっき俺があのバカおじさん達と話してること聞いたろ?
正直に言え!言い逃れしても無駄だぞ!!』
『さっきの話……。ゼリーキング討伐に関する話のことですか?』
『な、なんで敬語なんだよ?ムカツクな!
へへ〜っ!中途半端に割り込んできて爆弾当たるとこだったくせに!!』
−− 両手を振り上げ怒鳴る。 −−
『とにかく!!さっき聞いたことは全部聞かなかったことにしろ、分かったか?』
『……よく分からないんですが。
正確にどんな話を聞かなかった振りをすればいいのか教えてくれませんか?』
『お前……バカか?本当にバカおじさん達と同じくらいバカなのか?
うう〜イライラする!!
さっき聞いただろ!!あのバカおじさん達がゼリーキングを討伐する自信がないから、他の人達が討伐するのを待って、その人達を爆弾でやっつけて証を奪うつもりだってこと!!』
(……そんな話だったのか。
そんな純真ながらも卑怯な作戦を真剣に立てているなんて……全く理解できない。)
『あなたも他人を邪魔するつもりですか?
それで計画が漏れてはならないから秘密を守れと言うのですか?』
『そ……そうじゃない!俺はそんな汚いことはしない!!
このクリス様を何だと思ってる?!』
(クリスという名前なのか。
とにかくちょっと素直じゃないようだが子供らしく純粋でいい子みたいだ。)
『とにかく!!
……聞いたことは言い触らしたりしないほうがいいぞ。分かったか?うん?分かったのか!』
『はい。そうすることにします。
どうせそんなことを敢えて知らせなければならない必要性も感じませんし、知らせるには妥当性のある情報からして欠けてますから。』
『何を言ってるんだ?何か難しいことを言えばひるむと思ったか?ふん。
ムカツクヤツだな。チェッチェッ。』
『約束しますよ。
これで安心ですか?』
『約束……?
ふむ……。』
『よし!!いいだろう!誓いの意味で俺が言うとおりにできるか?
やらないなんて言うなよ!!このクリス様、今は笑っているが実は恐ろしい人間なんだ!!』
『それで安心できるならやりますよ。』
『よし!!あんたがすべきことは二つだ。
まずサリチェおばさんのところに行って俺が預けた物を受け取ってくるんだ、サリチェおばさんはライディアで雑貨店をしている。それは知ってるよな?
そして戻って来る時はそれと一緒にプラバの花びら20個も集めて持って来い!!分かったか?
ライディア周辺のフィールドを良く探せばプラバはそこらじゅうに散らばってるから難しくないはずだ。ふっ。』
『整理すると……サリチェさんのところに行って預けた物を受け取り、プラバの花びら20個も手に入れて来ればいいんですね?どこに持って来ればいいですか?』
『それは……うーん……。』
『うーん……フリーマーケットにしよう。あっちの方へまっすぐ行けばナルビクフリーマーケットがあるんだ。
つまらない考えはするなよ〜!!
このクリス様はいつでもどこでも全部分かるんだからな!いいか?!』
『……では、行って来ます。
また後ほど。』
(とりあえずサリチェさんのところに行ってみることにするか。)
□
−−暗転−−
『いらっしゃいませ、旅行者さん。
赤い実では良質の物品をそろえておりますわ。
ゆっくり見て行ってください。』
『こんにちは。はじめまして。
実は頼みを受けてきました。』
『頼み?』
『はい。ナルビクのクリスという子がこちらに預けた物があるそうですね。
オレが代わりに受け取りに来ました。』
『うん?クリスが預けた物……?
えっと……。』
『ないと困るのですが……。』
『いや……あの……ないわけじゃないんだけど……。
あらまあ、どうしましょう?』
『クリスのやつ、またイタズラをするなんて〜!!
ふう、あのチビっ子はあなたをからかったんです。』
『どういうことでしょうか……。預けた物はないってことですか?』
『そうではありません。あたしに最初に預けたのは確かですが、今はジャバライさんのところにあります。
そちらへ受け取りに行きなさいと確かに伝えたのに……ふう。
クリスのヤツ……ジャバライさんのところに行くのが怖いから人を送って、それもまっすぐあっちに送ればいいものをあえてあたしのことろに来させるなんて……!!
子供のくせに意地悪なんだから。』
『そうですか。
でも物があるんでしたらよかったです。とにかくそのジャバライという方を訪ねれば問題がないのですから。』
『あら……心が広いんですね。
まだ幼く見えるのに近頃の若者らしくないですね。
ふぅ〜、うちの娘も見習ってくれればいいのに。あの子があなたの半分でも落ち着いて気品があったら……。
とにかくカウルのジャバライさんのところに行ってみてください。
少し変わった方ではありますが……多分あなたなら大丈夫だと思います。』
『ありがとうございます。
さようなら。』
サリチェ:
(じゃあカウルにいってジャバライさんに会ってみよう。)
『何が欲しいんだい?ここは値段が張るからな、お金がないならさっさと出て行った方がいいぞ。
でも品質だけは保証できる。最高級品ぞろいだからね。』
『こんにちは。はじめまして。
実は頼みを受けてきました。』
『頼み?私は頼みなんか聞かないから他のところに行ってくれ。』
『そうではなく……ナルビクのクリスという子がこちらに預けた物があるそうです。
私が代わりに受け取りに来ました。
ライディアのサリチェさんのところに行ったのですがこちらにうかがうよう言われたので。』
『ふ〜ん?クリスのヤツ、直接来いと言ったのに人を送るとは。
ふん!』
『あんたもあんただ。どうして主体性なく他人に言われたとおりに行ったり来たりしてるんだ?
あんたにはプライドってものがないのか?』
『自分の意思でクリスの頼みを受けたのです。自ら誓ったことを忠実に履行するために、遠い道さえいとわず進むことこそ、プライドを守るための行為だと思いますが……。』
『……何?』
『……ふむふむ。そ、それはそうだな……。ごほん、実に口のうまい冒険者だ。』
『ふん!!
まあいい。今回はこのジャバライ様が多めに見てやることにしよう。
とにかく受け取れ。これを受け取りに来たんだろう?』
−− 磨いたクリスの短剣を手渡す。 −−
『あ、装飾まで施していただいたのですか?とてもすばらしい腕前ですね。
……刃もピカピカですし。』
『ふん、当然だろ?私を誰だと思ってる!
さっきも言ったが、うちはちょっと値は張るが品質だけは保証できるんだ。
……あんた、見る目はあるな。ふん。』
『誉め言葉ですか?ありがとうございます。
それではオレはこれで。』
『じゃあな。
いい物が買いたくなったらまた来いよ。ふん。』
(物は受け取ったし……ブラバの花びら20個を用意してナルビクフリーマーケットに戻ろう。)
□
−−暗転−−
−− 町側へと繋がる細道を歩いて来るジョシュア。入り口でクリスが待っている。 −−
『お〜約束を守るヤツだったんだな?
あんた、けっこう役に立つな?』
『サリチェさんではなくジャバライさんのところに品物が渡っていました。
なのでそちらから受け取って来ましたが、問題ありませんか?』
『も……問題ない。ごほん。』
−− みがいた短剣を受け取る。 −−
『いやあ〜見違えるくらいきれいになったじゃないか。へへ。やっぱり任せてよかったぜ。
これなら……。』
『……。』
『……!
な、何見てるんだ?も、も、もう行け!ふん。』
『待ってください。頼んだのはその短剣とブラバの花びら50個ではありませんでしたか?』
『そ……そんなの当然おまえをからかうつもりで言ったんだよ!!
ふん!あっかんべ〜!!』
(……本当にいい加減に言ったようだな。頼んだのはブラバの花びら50個ではなく20個だったから。)
『どうしてオレを怒らせるためにそんなに面倒なことをするのか分からないのですが。
もしオレが怒って短剣を持って来なかったらどうするつもりだったんですか?』
『し、知るか!そんなこと!
ふん!バーカ!あっかんべ〜!!』
−− 左下、南方向へと走り去るクリス。その姿を目で追うジョシュア。 −−
ジョシュア:
『怒ってほしいのか……?
どうもよく分からないな。』
−− 走り去った方から歩いて戻って来るクリス。随分と離れた場所で立ち止まる。 −−
『よし!!
とにかく約束どおり俺もおまえを信じてやることにする!!ふん!』
−− 再び走り去る。 −−
『……本当に分からないな。
しかし悪い子ではなさそうだ。』
−− 辺りを見回しフリーマケット中央へと歩いて行く。 −−
□
−−暗転−−
−− フリーマーケット中央の石像付近で辺りを見回し、さらに西側へと歩いて行く。 −−
□
−−暗転−−
−− フリーマーケット西側、太陽モチーフの芝生の上でフィスカーとパークが騒いでいる。 −−
『ウアアッ!あっち行け!
シッ!シッ!』
『もういないみたいだ!フィスカー大将!!』
フィスカー&パーク:
『……さっきクリスと一緒に広場に立っていた人達じゃないか?
ゼリーキングの証を横取りしに行くと大口をたたいていたが……どうしてこんな所にいるんだ?』
−− 2人そばへと歩いて行く。 −−
『こんにちは。』
フィスカー&パーク:
−− 驚く2人。 −−
『ウアアッ!!』
『キャアアッ!!』
『び、びっくりしたじゃないか!!こいつ!』
『びっくりしたじゃないか!!
殴ってやる!
……そういえば大将!!
こいつさっきあの白いガキとケンカしてた時、ボク達に爆弾を跳ね返したヤツだ!!』
『何?……そ、そんなこと俺ははじめから分かっていた!
おまえ今付いたのか?』
『やっぱりフィスカー大将はすごい。はじめから分かってたなんて〜!』
『ところで俺達の前にまた現れるなんて……痛い目にあいたいのか?あん?』
『痛い目にあう?
フフフ。うちの大将は恐いんだぞ〜!』
『鳥の巣に何かあったのですか?』
『ん〜とね、ボク達がやっと鳥の巣を直したのにヘビが……。』
『パーク!!そんなやつに何をいちいち説明してるんだ?!』
『はっ!こんなはずじゃ……こいつ本当に恐ろしいヤツだったのか!
大将、いつの間にか全部答えちゃう魔法がかかったみたいだ!!』
『……そういうことですか。
……それではまた尋ねてみましょうか?』
−− パークの側へと近寄る。 −−
−− 両腕を振り上げ仰け反り怯える。 −−
『ヒイッ!来るな!!来るな!!』
『フフ。鳥の巣に何かあったのですか?』
『ヒイッ!!
大将〜これはボクのせいじゃない〜大将〜!!』
−− 握り拳を作るフィスカー。ジョシュアが振り向く。 −−
『こ、こいつ!パークをいじめるな!!』
フィスカー&パーク:
『鳥の巣に何かあったのですか?
今こうして言い争ってる間も……ほら、小鳥達が鳴いてるじゃないですか?』
『実はボク達がやっと巣を直したのにさ〜急にヘビが現れたんでそれを追っ払おうとしてるうちにちょっと壊しちゃったんだ!!』
『巣の下に敷いてた柔らかい羽毛やワラはどこで手にいれればいいんだよお〜!!』
『……。』
『ああ、それならこのブラバの花びらで解決できないでしょうか?』
−− ブラバの花びら20個を手渡す。 −−
フィスカー&パーク:
『おまえいいヤツだな?
わあ〜!!』
『た、たったこれしきで俺達を喜ばせようとしてるようだが……あきれたな!
俺達はそんなに甘くない!!』
『ふむ……小鳥達がお腹をすかせてるようですね。
ラルヴァのさなぎくらいなら小鳥達のエサになりますよね?』
『……おまえ、本当にいい人だな。
しくしく。』
『いい人だ。しくしく。』
『それでは、ラルヴァのさなぎ5個くらい集めて来ますね。
それまで巣を守っていてくださいませんか?』
フィスカー:
パーク:
−− その場を立ち去り、フリーマーケット中央へと歩いて行く。 −−
(……また関わってしまったな。本当にまいった。
実は他人がどうなっても構わないと思いながらも、こうして親切な人を演じてしまうなんて。
それに約束は必ず守らなければならないという変な信念まで……。ラルヴァのさなぎ5個か。
少し時間がかかりそうだ。)
■思いの他長いジョシュアさんです。いつ終わるのか……。
そして、他人がどうなってもいいって思ってる人の行動じゃ無いと思います……。演技……じゃなくて素だろうなぁ。
ツンデレの友達の影響かもしれませんね。■
→続きの話、再び自由市場へ
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