Home > ジョシュア(Ep2C0 Deus ex Machina -機械仕掛けの神-) 1p・2p・3p・4p・5p
−− 貴族の屋敷の書庫にも見える、見知らぬ部屋の中央まで歩いてくる。すると周囲を3つの光球が現れる。 −−
−− 振り返る。 −−
『さあ、これが舞台の始まりか?
仮面に空いたふたつの空虚な穴が目となってオレの代わりに眺めている幻……。
……おもしろいな。
本当にこれが、あの人が言った舞台ならば、だが。』
−− 光球が消え、辺りが暗くなる。 −−
『……。』
−− 正面に1つだけ光球が現れ、ジョシュアに重なり彼の左手側へと移動する。 −−
−− 光の球の方を向く。 −−
『例の仮面を手に入れた。言うとおりにこの顔に付けた。
それによって得たものは1枚の書信だった。
誰かが伝えたもののようでもあり、あるいは自然にオレの中に飛んできたような、そんな書信だ。
言ってみれば、これは舞台に登場する瞬間から主演俳優が手に持っている小道具のようなものだ。
出所がどこなのか、誰が伝えたのか……。
そんなものは俳優の台詞に付いているものだ。そうだろう?』
−− ジョシュアが着けていた仮面を取り去り懐にしまう。すると、光球が離れながら掻き消えた。 −−
−− 正面を向き、書信を読上げる。 −−
『忘れられた王国を知っているか?ガナポリー、その名前を覚えているか?
すべての言語がまだ本質と触れ合っていて、そして魔法が真正だった王国を覚えているか?
秩序が食い違った日、魔法は散った。言語が力を失った日、王国は崩れた。しかし記憶は永遠だ。
しかし記録は残存する。』
−− 再び光球が現れ、ジョシュアの周りを数回周り右後ろで留まる。 −−
『……。
気になるのはここだが……。』
『ガナポリーの最も偉大な、そして最も致命的な魔法は人形の創造だった。
あってはならないもの、言語を持って生まれなかったことによりガナポリーは何よりも崇高になり、また危険に陥った。』
『……無駄に長い書信だし、あまりカッコよくもないが、それが「本人」の問題となればかなり深刻になるのが当然かな?
俳優として招待されたと思ったら今度は探偵ごっこまでさせるのか。まったくひどい語り手だ。』
−− 書信を丸めると後ろを振り向く。 −−
『この書信のキーは、人形だ。ガナポリーだろうと言語だろうと……それらはすべて無駄な修飾語に過ぎない。
ガナポリーが作った「人形」には2種類ある。
ひとつ目は人に似た人形……美しくて何よりも理想的な人に似ていて……、しかし人ではない存在。
そしてふたつ目は……。』
『ふたつ目は、もうひとりの人を作ることだ。』
−− 呪文を唱える仕草をすると目の前にもう一人のジョシュアが現れる。 −−
『……よく分らないが、どこかにもうひとりのオレがいるということが言いたいようだ。
この書信は。
そう……、オレはいつも自分が誰なのか知りたかった。
誰かがオレにお前は魔術師であり道化師だと言った。
……言語を操って何かを成す人は魔術師や道化師だから、間違った言葉ではない。
そして……、だからオレは知りたいんだ。
その別のオレは魔術師だろうか、それとも道化師だろうか?
彼がどんな存在なのか分ればオレは自分が誰なのかもっと簡単に理解できるかもしれない。
……オレは無理にいい席がほしいわけじゃないから。』
『椅子がふたつあったら、拳で戦ってその席を得る方法もあるが、
もうひとりが席を取った後に残った方を選ぶ方法もあるだろう?』
−− 目の前のもう一人が消え、光球も右側に移動して消える。 −−
『……。
……おい、聞いてるか?』
−− 振り返る。 −−
『……行ってしまったか。
オレの話と同様、お前も流れて行ってしまったのか?』
−− 再び正面を向く。 −−
『……。』
『まあ、よし。
この書信を送った人がオレを舞台に立たせるつもりだったなら大成功だな。
オレは動くつもりだから。
さあ……どこに行けばいいだろう?オレの人生の台本にはどう記されている?』
□
−−暗転−−
−− クラドフリーマーケット中央の噴水が映る。その場所から右下にいるジョシュアへと視点が移動する。 −−
−−白転−−
Chapter0 Deus ex Machina. -機械仕掛けの神-
−−白転−−
−− クラドフリーマケット、ワープポイント横まで歩いて来て立ち止まり、辺りを少し見る。 −−
『ここがクラドか……。早朝だからかまだ静かだな。』
−− 再び歩き出す。すると、村人の女性に声をかけられた。 −−
『こんにちは〜!こんな朝早くにカッコいい人を見て気分がいいわ。
見慣れない顔だけど……旅行者ですか?
あ、私はアノマラド王立銀行クラドフリーマーケット支店を担当しているカルペです!
お手伝いできることはありませんか?』
(オレを見慣れない顔と言うところを見ると、オレが知りたがっている情報は持ってなさそうだな。
でもオレにとってクラドは知らない場所だから、どんな話でも聞いておけば役に立つだろう。
声をかけてみよう。)
□
−−暗転−−
−− 傍に寄り声をかける。 −−
『こんにちは。
はじめまして、お嬢さん。』
『こんにちは〜!!
朝からあなたのような美男子を見るなんて、今日はいい日だわ。
どこからいらしたのですか?口調も何だか変わっていますね……うーん……。
雰囲気も今までにない感じだし……うーん……。』
『あ、こんなこといっても私を軽い女だと思いませんよね?
あくまでも親切!優しい!っていうのがまさに私達アノマラド王立銀行の主義ですから。』
『もちろんです。』
『……。
はあ……そんなこと言っても、私はケルティカのような大都市のお嬢さん達に比べれば田舎っぺなんでしょうけど。』
『そんなことありませんよ。
ケルティカもこことまったく同じです。アノマラド王立銀行本店にも行ってみましたが、あなたはそこの担当の方々同じくらい有能に見えますよ?』
『キャ〜!ケ、ケルティカから来たんですか?
うわ〜!本店に行ったんですか? 私も研修の時にだけ行きましたが……。
実はすごい方だったんですね?』
『そうではありません。
銀行はお金を預けることができる人ならば誰でも受け入れるところでしょう?
それがどんなお金でも。』
『もちろん……そうですが。
……。
……。
…………。』
『……ああ、悪い意味ではありません。
職業意識がはっきりしているのは称賛すべきことでしょう?』
『そ……そうですか?ほ、本当ですか?
ああ……よかった。
それより……本当にケルティカから来た方でしょうか?最近ケルティカはどうですか?
ウワサによるとどうも騒がしいとか。』
『ケルティカはいつも大騒ぎですよ。』
『そうですよね?
レンテによると……あ、レンテはマジックテレポートサービスから派遣されている職員ですが、ここで一緒に働いているうちにとても仲良くなった子です。
とにかくレンテによると、近頃はワープサービスにも微妙な失敗が増えたうえ、座標をいくら指定してもだんだん不正確になって……。
……まあ、マジックテレポートサービスはアノマラド王室の魔法使い達に意見を求めているようですから、すぐに直ると思いますが……。』
『……。』
『何かおかしい感じがするんです、最近。
ナルビクの方から来る人々によるとあっちもすごく大騒ぎみたいで……。見たところ前とひとつも変わったところがないのに、なんとなくそわそわしませんか?何か起こりそうで。』
『……そうですね。見かけは変わりないのに何かが起こりそうだったら、やはり誰でもそわそわしますよ。』
『あら私ったら、無駄に忙しい人を引きとめちゃったかしら。
クラドに行きますか?』
『たぶん……行くべきでしょう。道がそちらに伸びていますから。』
『ほほ。本当に面白い人ですね〜。
クラドの人達は外部の人があまり好きではないので、気を付けてください。
もちろんあなたはいい人みたいですが……うーん……。それでも目立つから……。
……あの、どういう意味か分りますよね?あなたはすごく目立つから……。』
『はい。分かっています。
では……。』
−− 走ってその場を離れる。 −−
『ああ!今日は本当に運がいいわ。
目立つのは不便だろうけど、それでもあれほど美しい顔ならちょっとくらい不幸な運命を持って生まれれたって大丈夫そうだわ。』
『……クラドか。ここで役立つ情報が得られるだろうか……?
じゃあ、本格的に第一幕を始めてみよう!』
□
−−暗転−−
−− 5人の男女が向かい合い、何かを話し合っている。 −−
『……。
はあ……。』
『おい、ロイド。元気出せ。
お前までそんな浮かない顔でどうする?
デイジーさんを元気づけるんだろ!』
『そうだ、元気出せ!
デイジーさんに必ずしも歌をプレゼントする必要はないじゃないか。
他のものだっていくらでもあるさ!!
結局プレゼントは、心が重要なんだ!心が!』
『でも、やっぱり元気の出る楽しい歌を聞かせてあげられたらいいのに。
最近デイジーさん元気なさそうですし。』
『ルディさん、ちょっと!!』
『あっちゃ〜。
そ、そうですよ、ロイドさん。
歌なんてなくても……。
デイジーさんはロイドさんの顔を見ただけで元気になりますよ〜。ほ、ほほ!』
−− 肩を落とし文句を言うランドルフの方を向くルディ。 −−
『……今さらフォローしても遅いよ、ルディさん。』
−− 画面下から、ジョシュアがニワトリ2羽と並走し傍まで歩いて来て立ち止まる。 −−
『……。』
『はあ……。』
ジョシュア:
−− ジョウシュアがやって来た方向と同じ方向から町長が歩いてくる。ジョシュアの横付近まで歩いてくると横を向く。 −−
『ロイドのやつ、まだくさっておるのか?
お前達もそうだ……。ここに集まって何をしておる?』
−− 正面を向く。 −−
『町長様……それが。』
『自警団ともあろう者達がぞろぞろ集まって歌がなんだかんだ……ってまったく、聞いておれんよ。
君達がそんなふうにうつつを抜かしておるからあそこ……あんなふうによそ者が勝手に入って来てはきょとんと見物してるのではないかね?』
−− ジョシュアを見る。 −−
−− 町長を見る。 −−
『……。
もちろんオレがよそ者であることに間違いありませんが……。』
『ふむ。何の用であちこち覗くのか知ったことではないが、我々はよそ者をあまり歓迎しない。
歓迎されたければ他の町へ行ったほうがいいだろう。』
−− 村人側に向く。 −−
『町長様ったら……。
そんなふうに頑固に振る舞うことないでしょう?どうせこの何年かで外部の人達が出入りすることもうんと増えたし……、考えてみればいつまでもこの町の人達だけでくらすことはできないんですよ。
私も商売をしなければならないし、それにこの前町によくないことが起こった時も、
外から来た冒険者さん達が助けてくれたじゃないですか〜。そうでしょう?』
『ふん。それはそれだ……。
とにかくよそ者は気をつけなければならん。いつワシらを利用するか分らんからな。』
『……でもサイモペイン盗難事件が起こったのは大昔で、近頃はどうせ出土量が減って危なくな……。
ゴホン。』
『ああ〜私ったら言葉に気をつけなくちゃ……。』
−− 村人側を向く。 −−
『……無駄なトラブルを引き起こしてしまったようですね。
そういうつもりではなかったんです。オレはこの町について詳しく知らないし、ついさっき到着したばかりですから。不快に感じたのなら申し訳ありません。』
『い、いえいえ〜。そんなに謝る必要ありませんよ。
ふん、考えてみれば今ロイドが沈んでるのも全部町長様のせいじゃない!ぷんぷん!』
『ル、ルディさん。
君、今日はどうしてそんなに言いたい放題なんだ?町長様はあくまでも我々の町のために……。』
『だけど〜!やっぱり、バラさんが来ないのは町長様のせいじゃないですか?
みんなそう思ってるでしょう?
町長様がよそ者だということを理由にバラさんを来させなかったから、バラさんは気分を害したんです。
ようやく許可をもらったけど、バラさんは足をケガしたから来ないって言うじゃありませんか!』
『ル……ルディさん!!』
バタナ町長:
『や、やめろ。ルディさん!!
町長様の立場では仕方ない……。』
『そうです。やめてください、ルディさん。
悔しがってくれることはありがたいけど……もう大丈夫です。』
(……どうやら悪いタイミングで到着したようだな。)
『申し訳ありません。せっかく訪問されたのに、こんな姿を見せてしまって……。
忘れてください。』
『そういえば初めて見る顔だけど……。
クラドには初めていらっしゃったんですね?
ふふ。珍しいくらいの美男子ですね〜。どこに行っても人気でしょうね!』
『とんでもありません。』
(初めて……ということは、ここでも誰かに関する情報を得ることはできないか。)
『だろうな〜。あの、あなた旅行者ですか?よければカウルに行って来てくれませんか?
よければ……だが。』
『まあ!初対面のよそ者にお願いをするなんて、私達の町長様が知ったらどうするんです〜?
そうでしょう、町長様?
クラド自警団ともあろう人達がよそ者に……。』
『ルディさん!!』
『何を言ってもよそ者は信じられん。
……ふん。取り返しのつかないことだけはできん。ワシはとにかくこの町の町長だからな。』
−− そう言って、その場を立ち去る。 −−
『意固地なんだから……。
ふんだっ。実はロイドにすまないと思っていらっしゃるんでしょうね、町長様も。
分りやすいわ!』
−− ジョシュアの方を向く。 −−
『どうですか、ハンサムな旅人様?
カウルに行って来てくださいませんか?
ただバラさんのところに行ってもう一度頼んでくれればいいんです。』
−− 同様にジョシュアの方を向く。 −−
『……俺からもお願いします。
せっかくデイジーさんに楽しい音楽を聞かせてあげることにしたのに、こんなふうにあきらめるなんて……!嫌です!!俺のプライドが許しません!』
『カッコいい〜ロイド〜!いいよいいよ、カッコいいよ〜!』
−− 元の方向に向き直る。 −−
『ルディさん……冷やかさないでください。
俺は真剣なんです。
きれいな服や宝石のようなものは、デイジーさんには何の意味もないから。一体何をプレゼントするべきか何日も悩んでやっと決めたものだったのに……。ふう。』
−− 村人が注目する。 −−
『前後の事情はよく分りませんが、整理すると、ここにいらっしゃるロイドさんがデイジーという名前の恋人のために演奏家を必要としてるってことですね?』
『必要な音楽は楽しい曲で、必要な演奏家はカウルに住んでいるバラという方……。合ってますか?』
『……わあ、すげー。
俺達がいつそんな話をしたんだ?』
『全部話されていましたよ。』
『旅人様、すっごく賢いみたいね?
カッコいい〜!何だか心強いわ!』
(引き受けるとは言ってないのに……どうしてこの人々は前後の事情を整理しただけでオレが介入したと思ってしまうんだ?
まあ……いいか。どうせ今すぐ行かなければならないところがあるわけでもないし。)
『バラさんを訪ねてクラドに来てくださいと、本当にお願いしますと、お伝えください。』
『はい、では、行ってまいります。』
『まだベイラスがその光を失ってませんからきっといい結果があるはずです。
彼は優しい月ですから。』
−− その場を立ち去る。 −−
『まあ!本当にステキな人ですね。
ベイラスは優しい月だから〜だなって……ドキドキしちゃう。ふふ。
私にもこんな少女らしい感性が残っていたなんて知らなかったわ。』
−− 元の方向を向く。 −−
『ベイラスが彼……ですか?』
『もう……。
ロイドさん、当然ベイラスは彼ですよ。シエナは女性、ベイラスは男性!知らないんですか?
シエナはセティリアの星だから当然女性で、ベイラスはその相方だから男性でしょう。
……とにかく、ベイラスは治癒と回復の月だから、期待してみましょ!
私達の「よそ者さん」が、バラさんではなくヴェルディエ・ソロミューでも連れて来てくれるかもしれませんからね。』
ロイド:
□
−−暗転−−
−− しばらく行った先で立ち止まっている町長。 −−
−− 離れた場所から町長に声をかける。 −−
『……何か他に必要なものはありますか、町長様?』
『……。』
『オレはよそ者ですからよそ者を連れて来ることになんのためらいもありません。
町のために警戒心を解くことができない立場ということは分りますが……。
今回は少し度が過ぎたと、もう分っているようですね?』
『くう〜……。可愛げのない性格だな、君は。
……気づかない振りをして早く行け。どうせこうなったんだから、必ず演奏家』
−− ジョシュアを見る。 −−
『……そうするつもりです。せっかく頼まれた仕事ですし、オレが音楽に関して失敗したことはまだ一度もありませんからね。』
−− 歩き出す。 −−
□
−−暗転−−
■中途半端な部分で切れてしまいました……。幕間のセリフも所々飛んでますし(苦笑)
ジョシュアは謎の多い始まり方ですねー……。どうなるんでしょうね?この先。■
→続きの話、カウルへ
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