Home > アナイス(Ep2C0 Magnum Mysterium) 1p・2p・3p・4p・5p
−− パレンシア海岸入り口で立ち止まり、追いついたイサックの方に振り返るアナベル。 −−
『アナベル、足痛い。』
『大丈夫か?おんぶしてやろうか?』
『やだ。』
『じゃあ、少し座って休むか?』
『うん。』
−− アナベルがその場で座り込み、右隣にイサックが座る。 −−
『名前はアナベル?』
『うん。アナベル。とりあえずは。』
『とりあえずは?』
『……。アナベルをアナイス・デル・カリル(Anais del Caril)と呼ぶ人もいた気がする。』
『そうなんだ。じゃあ、アナベルはニックネームみたいなもの?』
『アナベルもわかんない!アナベルはアナベルなの。だよね、くまさん?』
(変わった子だな……。)
『……。俺の名前はイサックなんだ。』
『だから?』
『イサックと呼んで欲しいなと思って。』
『お兄ちゃんって呼んでたから……。人前でそういうふうに呼ばれるのは困るんだ。』
『何で?』
『そう呼ぶと君の両親が嫌がるからな。それに、俺の妻や娘達もがっかりするしね!ハハ。』
『……。ママと子供がいるの?』
『うん、俺には家族がいるんだ。だからこれからはイサックと呼んでな。』
『やだ!あたしの勝手よ!』
(すごいわがままだな。いや、これが普通なのか?ジェニが大人しすぎるのかもな。)
−− 少しの間。 −−
『さあ、十分休んだな?歩けるか?』
『うん。』
−− 歩き出す2人。 −−
−− 歩きながらたずねる。 −−
『あの、アナベル。』
『何?』
『これからはお店のものを勝手に持ち出すのはダメだよ。わかった?』
『アナベルはやってないよ。くまさんがお腹空いたって言うから。』
『……。じゃあ、後でアナベルがくまさんに説明してあげな。』
『うん。』
『ありがとう。』
イサック:
アナベル:
−− 行く手方向からハゼを連れた背の高いアフロ頭と、背の低いフードを被った男性が走ってくる。 −−
アフロ頭の男性:
『おい!何で止まる?』
−− 振り返る。 −−
『大将、背が高いやつは、ち、近くで見たらけ、結構強そうだよ。』
『う、う、うるさい!
オレ達は強いんだ!』
『だ、だよね?
フィスカー大将は強いよ!』
−− アナベルと2人組の間に割って立つ。 −−
『アナベル、下がってて。』
−− パークが振り返る。 −−
『なんだ?何か用でもあるのか?』
『おまえら馬鹿か?ハハ、ハハハッ!大将、こいつらが用事があるか聞いてるけど?』
『おまえら馬鹿だな!それを聞く馬鹿がどこにいるんだ?
ハハハハ!やっぱり田舎モンなんだよ、な?パーク、オレの言う通りだったろ。』
『さすが!大将は天才だよ!』
『あの丸っこいブタクマは何?アナベル遊んでもいい?』
−− アナベルの方を向く。 −−
『ブタクマ?』
−− パークがアナベルの方を向く。 −−
『ブタクマ?オレがブタクマ?!痛い目に遭いたいのか!』
『アナベルが間違ったの?ブタクマじゃないの?
可愛いからつい……。アナベルのこと嫌い?ぐすん。』
−− フィスカーの方を向く。 −−
『た、大将!ちっちゃいやつが泣いた。ど、どうしよ!』
『知らん!オレをブタクマだと?!やっちまえ!』
−− 2人の方を向く。 −−
『そ、そうだ!やっちまえ!』
−− 臨戦態勢を取る。 −−
『子供の前だから我慢したいけど……アナベル気をつけろ!』
『……。』
−−壊転−−
−− イサックがほおひげ団に近寄り、発勁・乱を撃つ。その攻撃にダメージを受けるほおひげ団。 −−
『ギャアアア!!』
『ウアアアッ!!』
フィスカー&パーク:
『に、逃げよう!
このサーカス怪力おじさん強いぞ!』
『逃げよう!
ちっちゃい方は邪悪なサーカス猫だ!!』
−− 一目散にその場から逃げ出すフィスカーとパーク。 −−
+経験と称号『サーカス怪力おじさん』『邪悪な猫』+
『……。サーカス怪力おじさん……?何それ。』
『アナベルには邪悪な猫って言ったの!』
−− アナベルの側に近寄る。 −−
『怪我はないか?』
『うん。くまさんも無事だよ。』
(このおじさん結構強いじゃん!
一緒に行動すれば便利そうね、フフッ。)
『よかった。でも変なやつらだったな。』
『変なんじゃなくて足りない人なの。
アナベルはすぐわかるの〜。』
『ハハハ、そうか!俺はどうだ?どんなやつに見える?』
『サーカス怪力男。』
イサック:
−− 少々の間 −−
(ひと安心だな。
一人で何もできない子だと思ってたんだけど。自分の身は守れそうだな。)
『よし、また歩くか!』
−− 座り込む。 −−
『アナベル、足痛い。怖いおじさん達を見たら足が震える。
アナベルもう歩かないもん。もうあのおじさんのお店に行かなきゃいいでしょう?ね?』
『ダメ。約束は守らないと。』
『フン!これ全部おじさんのせいだよ。アナベルはおつかいするなんて言ってないのに!
おじさんがやるなんて言うから行かなきゃいけないんじゃない!』
『間違ってはいないけど……君を助けようと……』
『アナベルは助けて欲しいなんて言ってないよ。』
『……。そうだな、アナベルは助けてとは言ってないよな。
俺の足にぶら下がって”お兄ちゃん〜お兄ちゃんお腹空いた〜ぐすんぐすん〜”こんなこともアナベルは言ってないよな?』
『何で勝手にアナベルのマネするの?キモイ!サーカス怪力男!』
『ハハハ、何でもいいさ。急ごう、邪悪なサーカス猫!』
『アナベル動物じゃないもん!バカ!』
−− 急に立ち上がり勢い良く出口へと走っていく。 −−
『おい〜、一人は危ないぞ!』
−− 歩いてアナベルの後を追う。 −−
□
−−暗転−−
−− 喫茶店内に入ってくるイサックとアナベル。 −−
『いらっしゃい。香草のかおりへようこそ。』
『こんにちは、ナルビクからおつかいに来ました。』
『あ!きれいなお姉さんだ!こんにちは!アナベルも来たよ!』
『子供は嘘をつけないんだから、ホホホ。
アナベルって言うのね。名前が可愛いわ、アナベル。
アナベルもおつかい中?』
『うん、したくないけど……。お兄ちゃんはまだママのことを忘れられないみたい……。
一人にするとママの写真見て泣いているんだよ。』
『だから……、アナベルお兄ちゃんが心配なの。それで一緒におつかいするの。』
イサック:
アビエス:
『あら、ごめんなさい。そんな事情があるとは……。二人で大変ね。』
『だ、大丈夫です。』
(こいつ、また何てことを!)
『あら!話に夢中になっちゃったわね、何のおつかいですか?
何を差し上げましょう?』
『あ、ナルビクのある商人からハニーハーブティーをもらってくるように頼まれたんです。』
『あら……。今は材料が足りないんです。
材料があればすぐ作れるんですが……。』
『そうなんですか?材料は入手が難しいとか?』
『いいえ、そんなに大変ではありませんわ。
蜂蜜10個、グリーンハーブ10個、レッドハーブ10個を集めてきてください。』
『やっぱり無理かな?』
−− イサックの方を向く。 −−
『アナベルには無理だよ。足が痛いの。
アナベルはここできれいなお姉さんと遊ぶ。いいでしょ、お兄ちゃん〜。』
−− アナベルの方を向く。 −−
『アナベル、そうはいかないぞ。一緒に行こう。』
−− 右側に顔を反らす。 −−
『やだ、アナベル行かない。きれいなお姉さんと一緒にいるの。』
『ふむ……。
あのさ、アナベル。きれいなお姉さんが今言った材料全部覚えてる?』
−− イサックの方を向く。 −−
『え?えーと……蜂蜜10個、グリーンハーブ10個、レッドハーブ10個。でしょう?』
『さすが〜アナベル賢いな!さあ、行こう。
お兄ちゃんは暗記が苦手なんだ、だからアナベルが教えてくれないと。』
−− 再び右手側を向き、手にしたクマのぬいぐるみを床へと叩きつける。 −−
『やだ、やだ、やだ!!ぐすん……。バカ!サーカス怪力おじさん!!』
−− アビエスの方を向く。 −−
『では、行ってきます。少し待っててください。』
『ホホホ、いってらっしゃい〜。』
−− 数歩出口へと向かい振り返るイサック。 −−
アナベル:
−− 再びクマを抱えるアナベル。2人で外へと向かう。 −−
□
−−暗転−−
−− 喫茶店へと戻って来る2人。 −−
『お帰りなさい。無事でしたか?』
『はい、これ材料です……。』
−− 蜂蜜10個、グリーンハーブ10個、レッドハーブ10個を手渡す。 −−
『ちょっと待ってくださいね。私がすぐ箱に入れて包んであげますからね。』
『あ、ゆっくりで大丈夫です。』
『二人で苦労してるようですね。でも、二人だから寂しくないですよね?ホホホ〜。』
『あ、はい。ハハハ。』
『はい〜ハニーハーブティーですよ。』
−− ハニーハーブティーを手渡す。 −−
『ハニーハーブティーは余分に入れておきましたよ。
頼まれた分だけ渡して、残りは二人で召し上がってくださいね。
たまにはゆっくりお茶を飲む時間も必要ですからね〜ホホホ〜。』
『アナベルとくまさんはここでお姉さんと住みたい。』
『あら、可愛いこと〜。
お兄ちゃん寂しがるわよ〜。』
−− アナベルの方を向く。 −−
『そうだよ、アナベル。アナベルがいないとお兄ちゃんは毎晩泣いちゃうな。』
−− アナベルがイサックの方を向く。 −−
(こんな所でこんなことまで言ってるなんて。メルに知れたら怒られるかもな。ハハハ。)
『もう行こう。おつかい中だからな。』
『くすん……わかった。アナベル我慢する。
きれいなお姉さん、バイバイ〜くまさんもバイバイって言ってるよ。さようなら〜。』
『バイバイ〜また遊びに来てね。お気をつけて〜。』
イサック&アナベル:
□
−−暗転−−
■イサック&アナベル珍道中。若干ですが、セリフが違いますね。
振り回してるなぁ。■
→続きの話、再びナルビクへ
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