Home >ランジエ(Ep2Cp0 The Vortex.) 1p・2p・3p・4p
『おお、見直したぞ!
きれいな顔してやることは早いな?』
−− 頼んだ品、蜂蜜5個、クレミノの毛玉10個、トゥートゥーの殻10個、プラバの花びら10個を受け取る。 −−
『こういう細々した依頼は処理が煩わしいったらない。
まあ、事が大きければ大きいでそれも問題だが。
さあ、情報と交換するのだから質問を受けてやろう。
で、何が知りたい?』
(どういうふうに聞こう……。
フォンティナ公爵令嬢がナルビクへ来るというウワサについて聞きたいが。)
■ 2択で「1.単刀直入に聞く。2.遠回しに聞く。」で、単刀直入に聞いてみました。……多分。 ■
『……公爵令嬢のナルビク訪問について聞きたいです。』
『…………。
……………………。
お、おい……ほら、若者。
ちょっとは遠慮してくれよ。いきなり大物を狙うんだから、全く……。
まったく……。見た目は花の茎ひとつ折れなさそうなのに恐ろしい、あ〜恐ろしい。
ふうむ……。聞けと言ったのは俺のほうだしさら言い逃れするのもなあ……。』
『まあ大丈夫だろう。
どうせウワサは広がってるしな。
しかしすっかりウワサになったにしては、意外に知られてることは少ない。
まだ到着していないしな。』
『まだ……ですか。』
『まだだ。
しかしもうじき到着するはずだ。
しかし顔を見るのはあきらめろ。すごい踊り子や吟遊詩人が来たわけでもなし、烏合の衆が集まったら何人もの首が吹っ飛んじまうと思うぞ?
今警備兵達が右往左往しててウワサになってるのを見てる俺が不安になってくるよ。
……これもすべてアクシピターのシュワルター支部長がケルティカに呼ばれたせいで、仕事が滞ったからじゃないかと思う。
アレンさんはこんなふうに仕事をいい加減に処理する人じゃないからな。
ナルビク警備隊だっていつもアクシピターに世話になっているから、アクシピターが麻痺状態だから警備隊までバラバラさ。』
『こんなに大きな都市警備がそんな状態で維持されているなんて、不思議でしょうがないよ。
ハッハッハッ。
とにかくエシェルト伯爵の邸宅が目的地のようだ。
兵士達があっちにずらっと配置されているからな。
まあ、主人もいないのにあそこに何を見に行こうってのかは分からないがな。』
『そうですか。ありがとうございます。』
『まさかあそこに行くつもりならやめたほうがいいぞ。
警備兵だって形式だけで立っているわけではないからな。』
『はい。ご忠告ありがとうございます。』
『あ、これを持って行け。
まあ……本当なら金を支給するのが正しいのだが、情報を対価に提供してやったからな。
このくらいが公平だろう。』
−− ウイング20個を手渡す。 −−
『ありがとうございます。』
『とにかく……もともとよそ者がたくさん出入りする所ではあるが、近頃は本当に珍しい旅人がかなり増えた気がするよ。
最近では街を慣れた感じで歩き回るかなり熟練された冒険家がいたな。
あれくらいならば顔くらい知られててもいいようなのに、誰も知らないようだったよ。
そうこうしてるうちにフォンティナお嬢様ほどの人がお出ましになって……。
まったく不思議なことだよ。ハッハッ。
体に気をつけるんだぞ。
また立ち寄りな。旅行でも何でも金があってこそだから。』
『はい。
それではこれで……。』
(ふむ……詳しくは分からないが、ナルビク警備隊からそんな情報が簡単に漏れるくらいなら、本当に統率がとれていない状態なのだろう。
公爵令嬢が知ったら嘆くだろうが、こちらとしては幸いだ。
……フォンティナ家の兵は気難しそうだが、今の話だとナルビク警備隊は楽に落とせそうだ。
公爵令嬢が到着する前にエシェルト伯爵の邸宅に一度行ってみよう。)
□
−−暗転−−
−− 門を警備する警備兵2人に上級兵士が激を飛ばしている。 −−
『お嬢様がいらっしゃる時間だ。背筋を伸ばせ!
ネズミ1匹見逃すな!!』
−− 2人同時に答える。 −−
『はい!』
『お嬢様がいらっしゃる前に巡察に行った人員も帰ってくれば、見た目ももっともらしいのだが……。』
−− 落ち着かないのか、上級兵士が2箇所を歩きながら往復している。そこに帽子を被ったランジエが現れる。行く手を防ぐように立ち塞がる兵士。 −−
兵士左:
『だ、誰だ!』
兵士右:『ここは一般人立ち入り禁止区域であることを知らないのか?』
『必ずいるんだよな。こんなふうに何も知らずウロウロするひよっこの旅行者が。
ああ、本当に困ったな。
まだ若いようだが、優しい言葉で話してるうちにさっさと消えろ。』
『あ……こんにちは。
初めまして。』
『見たところ……まだ準備が終わっていないようですね。
本当に困りましたね。』
『な、何だと……?』
『しかし安心してください。幸いなことにお嬢様はまだ到着してませんから。
いらっしゃるまでには確実に準備を終えていただけたらと思います。』
−− 兵士の間を割って入り先に進む。 −−
『な、何を言っている?
つ……捕まえろ!!誰があんなヤツ……あんな人を入れろと言った?』
『あれ……お分かりいただけませんか。
私、確かにケルティカの言葉を使っているのですが。』
兵士左:『そ、そういえば話し方がちょっと違いますね。
隊長。』
上級兵士:
『お嬢様が到着する前に、現場の安全確認をしておかなければならないからです。
中までちゃんと確認しましたか?』
『万が一問題が起こったらタダじゃ済まないと思いますが……。
かなり広い建物ですが隅々まで確認したこと、間違いないと信じても良いですか?』
『そ……それが……。
たぶん……大丈夫だと……思うが……。』
『はあ……やっぱり。
困りますね、本当に。』
−− 上級兵士の目前まで歩み出る。 −−
『公爵様も親ですからね。お嬢様には甘いんです。
だからこんなワガママにも仕方ないとご旅行をお許しになりましたが、やはり安全面が気になるようですから。』
『そ、そう……ですよね、やっぱり。』
『お嬢様が不快に思うことを気遣って、こうして下の者を送って秘密裏に先に現場を確認しておくのが公爵様の親心……。
理解してくださいますか?我々の苦しい事情を。』
『私が来たことは、秘密にしてください。
みなさんの言葉を信じて適当に1周見回して出て行きますから。アハハ。』
兵士左:『隊長、どうしますか?
確認する時間もないし……。』
兵士右:『あのフォンティナ家に睨まれたら……。』
『う、うるさい!!
オ、オッホン……。』
『時間がないのに……。
こんなことしていてお嬢様が到着し、私を見たら、公爵様が手を使ったのがバレてしまうでしょう。』
『……はあ。そうしたらお嬢様のご機嫌はどうなるか……。
はあ……困りますね、本当に困った……。』
兵士左&兵士右:
『そ、そうか?そ……そうだろうな……。ウウ……。
フムフム。若者よ、大変だな。』
『貴族の方々のご機嫌を取るのはさぞ難しいだろう。
オ、オッホン。心配せずに入りなさい。
私達がさっきさっと見たから特に問題はないだろう。』
『ありがとうございます。
それでは……。』
(もたもたしてたら本物と出くわすかもしれないから急ごう。
こんな所で会うのはいろいろ困るだろうから。)
(さあ……中に入ってみよう。)
−− 上級兵士が道を開け、先へと進むランジエ。 −−
□
−−暗転−−
(……ふうむ。これは予想以上にすごいな。
エシェルト伯爵が謀反罪に巻き込まれたという情報は聞いたが……。)
(魔法に造詣が深いという話はあながち虚勢ではなかったようだ。
……まあ、これくらいあるからこそ、恐れ多くもケルティカを一気に手に入れるという妄想にふけることもできたのだろう。)
−− 本棚を離れパイプオルガンの側まで歩いて来る。 −−
(だがこれが全部ではないだろう。
間違いなくもう少しすごいものを隠してなければ……。
公爵令嬢がわざわざ見物に来る理由が無いじゃないか。)
−− 南側の本棚へと移動する。出入り口と思しき場所が見える。 −−
(何かに反応したのか……?
意図したわけではないが、私は求めていた答えを見つけたのかもしれない。)
(……ためらう時間はない。とりあえず動こう。)
−− 隠し通路へと入って行く。 −−
□
−−暗転−−
『あれ……。
思ったより広い空間だな。
ここは何かを守るためのトラップ……でもあったのだろうか?
まあ、状況を見たところもうすべて壊れてしまったのだろう。
苦労して作ったものだろうに、今はあんなモンスター達の遊び場になってしまったなんて……。
主人が見たら悲しむだろうな。
もう死んでいるが。
はあ……面倒だが、前に進むにはあいつらを全部片付けなければならないのだろう。
……できれば動きたくないが、仕方ない……。』
−− 億劫そうに拳銃を取り出す。 −−
□
−−暗転−−
『はあ……。
……こんな所もあるなんて、すごいな。』
−− 左上の実験機器に近寄る。 −−
『あっ、高級羊皮紙……。
もったいない。もう使用済みか。』
−− 中央上部の実験機器に近寄る。 −−
『あ……あれ、サイモペインに……こんな魔石まで集めたのか?すごいな……。
あ、これも全部使用済みか……。』
『うーん、本当に物を惜しむことを知らない人間だったんだな。
はあ……100倍は価値のあることに使えたのに。』
−− 右の実験機材の乗った机に近づく。 −−
『…………?』
−− 机の羊皮紙を開き読む。 −−
『インフェイズフェミノンに関する記録はこれが全て。
ガナポリーの栄光の記録が災いに変わった時、それも悲嘆に満ちた呼気に混ざり散らばってしまったからだ。しかし振り返ってみると、もとより記憶とは歪曲であり、真実は神話の垢をかぶり色あせていくもの……。
人間の全ての歴史がそうではなかったか?
消失した文字の羅列は、結局灰の山のようなもの。
未練を捨てて目を開け。その扉が再び開かれる日が来るだろう。
誰も知らない場所で音もなく、ひとつの時代が終止符を打つ日が……。』
−− 羊皮紙が光る。 −−
『……文字が……消えた……?
なぜ……?』
−− 羊皮紙を丸め元に戻す。 −−
『聞いたことがない。記録が自然に消滅するという話は……。
間違いなく黒いインクではっきり書かれた文字の羅列だったのに、まるで生物のように、虚空へ散らばってしまうなんて。』
『インフェイズフェミノンによって引き起こされる現象は、モンスターの出現と時空間が一部歪曲されること……それだけだと思ったが。
記録が消えることもその一環なのか?それとも……まったく別の現象?』
(ともかくここから出なければ。
もたもたしていられる状況ではないからな。)
−− 部屋を後にする。 −−
□
−−暗転−−
『ど……どうだ?
異常はないだろう?そうだろう?』
『はい。お話どおり、危険なことはなさそうです。
ご苦労様でした。』
『ご立派ですね。
どうも上の方々はナルビク警備隊を信用していなかったのですが……帰ったらきちんと伝えておきます。』
『そ、そうしてくれたら嬉しいよ。ハッハッ……。』
『それでは申し上げたとおり、お嬢様には秘密にしてください。
必ずです。お嬢様と一緒に来た他の人達にもできれば言及しないでください。
……秘密を守るには内部の人達にも話さないのが最善なんです。』
『肝に銘じておくよ。ハッハッ。
やはり大貴族の雇う人はどこか違うな。フムフム。
覚えておこう、その言葉。
秘密を守るには……あ……とにかく、最善だろう?そうとも。』
『ご立派です。
それでは私はこれで……。』
『気をつけるのだぞ〜!!』
上級兵士&ランジエ:
−− 兵士達の間を抜け、少し進んだ場所で立ち止まる。 −−
(これで私の用事は終わった。
フォンティナ公爵令嬢とこんな所で対面するつもりはないし。
どんな人なのか気になるが、好奇心だけなら動く理由にはならない。)
(舞台は他の所にしても十分だ。)
(クエストショップにまた寄って、リカスさんに会ってみよう。
何かもっと役に立つ話を聞けるかもしれない。)
□
−−暗転−−
−− 帰ってきた兵2人が増え等間隔に並んでいる。慌ただしく命令を下す上級兵士。 −−
『怪しい人はいないな?保安に問題があってはいけない。
高貴なお方だから特別に気を遣うように。』
兵士右下:『おい、一体誰なんだ?こんなに大騒ぎして。』
兵士右上:『あ、お前は巡察から帰ってきたばかりなのか?
ウワサを聞いてないんだな。
知らないのか?
こっちで何の用事があるのかは知らないがフォンティナ家の……。』
『しっ!無駄話しているのは誰だ?
あそこに馬車が見えるぞ。各自持ち場に戻れ!』
□
−−暗転−−
■暗躍中。頑張れ兵士さんっ!
次回はリカスの話の後ゼリーキングになるので、後2回分……かな?■
→続きの話、リカスの元へ
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